はじめに

2019年の米国株は、EPS(一株当たり利益)の拡大がほとんどない中で大幅に上昇しました。このことを受けてバブルではないかとの懸念の声が大きくなっています。金利環境、PER(株価収益率)から評価すると今の米国株はバブルではないと思われます。

S&P500のEPS推移(ファクトセット、2019年2020年は予想)、騰落率(配当込)

年度 EPS推移 騰落率(配当込)
2013 111.45 32.4%
2014 119.06 13.7%
2015 118.75 1.4%
2016 119.31 12.0%
2017 133.6 21.8%
2018 161.45 ▼4.4%
2019 162.78 29.0%
2020 178.21

2018年から2019年にかけて利益成長はほぼ横ばいながら、株価は2013年来となる約30%の大幅高となった。

PERエクスパンジョン

株価=EPS×PER
株価はEPS(一株当たり利益)×PER(株価収益率)と表すことができます。PERとは株価が一株当たり利益の何倍まで買われているかを表す指標で、一般的に小さいほど割安とみなされます。この式によると、株価の上昇はEPSの成長か、PERの拡大によってもたらされます。2019年は利益成長がほぼ横ばいだったため、株価の上昇はPERの拡大が寄与しました。この現象をPERエクスパンジョン(拡大)と呼び、投資家の楽観姿勢が強まったことを意味します。

米国株のバブル懸念

それでは米国株のPERは割高な水準まで買い上げられているのでしょうか。結論を言うと、割安ではないがバブルと呼ぶには程遠い水準です。米国の代表的な株価指数であるS&P500のPERは、歴史的に14倍から18倍のレンジで取引されてきました。過去25年の算術平均PERは16.8倍というデータもあります。2020年の予想利益ベースで足もとの株価はPER18倍を若干上回ります。すなわち割安ではない水準です。一方で2000年にピークを迎えたITバブル(ドットコムバブル)時は、PER26倍まで拡大しました。PER18倍はバブルと表現するのは低すぎるでしょう。

金融政策(金利環境)がカギ

米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、実質金利(名目金利ーインフレ率)のゼロ金利政策を採用しています。またこの状況を、大幅なインフレ率上昇がない限り継続するとコミットメントもしています。緩和的な金融政策と堅調な経済成長は株価にとって好ましい環境です。

●根拠となるニュース
【米国株】S&P500は年間29%上昇、原油・金も大幅高
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-31/Q3E90VT0G1L201?srnd=cojp-v2

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【この記事の執筆者】

資産形成を日本の文化にすべく活動しているファイナンシャルプランナー。銀行、証券(投信投資顧問、ヘッジファンドのファンドマネージャー)、保険の金融3業態すべてに在籍した経験を持ち、資産形成についてのそれぞれのメリット・デメリットを把握している。