シニア世代の資産形成シニア世代には積極的な運用・資産形成は不要で預貯金や国債に預けておけば良いのか?

シニア世代には積極的な運用・資産形成は不要で預貯金や国債に預けておけば良い、というのがこれまでの常識でした。人生80年、60歳定年、勇退後のセカンドライフ期間20年、年金の所得代替率60%超、さらにはデフレ時代であったことを前提とすれば、確かにシニア世代は特別な運用・資産形成は必要なかったのでしょう。しかし前提条件が崩れてしまった今、セカンドライフ資金を確保するためにはシニア世代も積極的な運用・資産形成が必用な時代に入っています。

これまでの常識

人生80年、60歳定年とすると、勇退後のセカンドライフ期間は20年になります。退職一時金支給額の平均(※1)を約2,000万円、年金の所得代替率(※2)60%超、さらに1990年頃ピークとした不動産バブル以降はデフレ時代であったことを考慮すると、退職金と年金、そしてある程度の貯蓄があればセカンドライフ資金は賄えました。

夫婦2人の場合

<支出>
ゆとりある老後生活費(※3)35万円
<収入>
夫がサラリーマンで妻が専業主婦だった場合の年金約22万円
<不足額>
(35万円-22万円)×12ヶ月×20年間=約3,100万円
退職一時金が2,000万円とすると、貯蓄が1,100万円程度あればセカンドライフ資金は足りたことになりますね。

単身の場合

<支出>
ゆとりある老後生活費(※3)25万円
<収入>
年金約15万円(所得代替率60%の場合)
<不足額>
(25万円-15万円)×12ヶ月×20年間=約2,400万円
退職一時金が2,000万円とすると、貯蓄が400万円程度あればセカンドライフ資金は足りたことになりますね。

退職一時金支給額の平均(※1)
厚生労働省退職給付(一時金・年金)の支給実態
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/08/3d.html
年金の所得代替率(※2)
年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合かを示すもの
平成26年財政検証結果レポート ―「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(詳細版)―
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093204.html
ゆとりある老後生活費(※3)
生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html
ゆとりある老後生活費と現役男子の手取収入額とほぼ同等
単身者は夫婦2人の7割と仮定

今までの常識であれば、シニア世代の皆さんは積極的な運用・資産形成はせずに、預貯金や国債などの増えない代わりに価格変動もないか小さい資産に預けていればよかったことになりますね。さらに、不動産バブル崩壊以降は物価が下落(デフレ)傾向だったため、現金で置いておけば何もしなくても価値が上がっていきました。

前提条件は崩れている

長寿化は急速に進んでいます。みなさん90歳で存命している確率をご存知ですか?最新の生命表(平成28年版)によると、男性の4人に1人、女性ではなんと2人に1人が90歳を迎えています。100歳近い親族がいる方も増えてきましたよね。人生100年時代はすぐそこまで来ているといっても過言ではないでしょう。

人口減少経済に突入していることもこれまでとは異なります。日本の総人口は2008年の1億2,808万人(※4)をピークに減少傾向になっており、2040年には18歳以上60歳未満の人口が約4,900万人、60歳以上の人口が4,700万人とほぼ拮抗すると見込まれています(※5)。日本の年金制度は修正賦課方式と言われ、現役世代の年金保険料が年金世代の受給に充てられているため、制度を維持するためには以下の4つの選択肢のどれか、もしくは組み合わせが必用になります。
(ⅰ)平均年金月額(受給)の引下げ
(ⅱ)支給開始年齢の引上げ
(ⅲ)年金保険料の引上げ
(ⅳ)国民総生産の増大政策

厚生労働省によると、経済環境を保守的にみた場合の所得代替率は40%程度にまで低下すると試算されています

(※4)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200524&tstat=000000090001&cycle=0&tclass1=000000090004&tclass2=000001051180
(※5)
国立社会保障人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf

シニア世代の新常識

人生100年、65歳定年とすると、勇退後のセカンドライフ期間は35年になります。退職一時金支給額の平均(※1)は約2,000万円のままとし、年金の所得代替率(※2)40%と仮定すると、多くの方は勇退後も資産運用・資産形成が必用になってくるようです。

夫婦2人の場合

<支出>
ゆとりある老後生活費(※3)35万円
<収入>
夫がサラリーマンで妻が専業主婦だった場合の年金約14万円(所得代替率40%の場合)
<不足額>
(35万円-14万円)×12ヶ月×35年間=約9,000万円
退職一時金が2,000万円とすると、あと7,000万円あればゆとりと安心をもってセカンドライフが楽しめることになりますね。

単身の場合

<支出>
ゆとりある老後生活費(※3)25万円
<収入>
年金約10万円と仮定
<不足額>
(25万円-10万円)×12ヶ月×35年間=約6,300万円
退職一時金が2,000万円とすると、あと4,300万円あればゆとりと安心をもってセカンドライフが楽しめることになりますね。

シニア世代の資産運用・資産形成

60歳から運用をスタートするとして、20年後の80歳を中間地点とします。年利回り3.5%を目標とすると、72の法則(※6)により20年で元金はおおよそ倍になります。仮に退職金2,000万円を元金として運用すれば4,000万円(課税前)の資産に成長しています。また、年利回り5.0%が達成できた場合は、20年後に約2.65倍になっていますので5,300万円(課税前)に成長します。もちろん原資は退職金でなくとも構いません。3.5%や5.0%は夢のような数字だと感じるかもしれませんが、3.5%はおおよそ世界の経済成長率と同じですし5.0%は新興国のそれと同レベルです。今後も世界経済が成長を続け、株価は経済の鏡と考えれば、年平均3.5%や5.0%の株価上昇は困難な数字ではありません。

シニア世代の資産運用・資産形成は、セカンドライフを80歳までの第1ステージとそれ以降の第2ステージに分けます。第1ステージは第2ステージのための資産を築く期間と位置づけ、積極的な運用をすることで、将来に渡って安心かつ充実したセカンドライフを送ることができるでしょう。

(※6)72の法則
お金が2倍になる期間が簡単にわかる計算式。「72÷金利≒お金が2倍になる期間」となる。

まとめ

これまでとは前提条件が異なること。より長寿になり、日本の人口は減少していることを考慮すると、シニア世代も積極的な資産運用・資産形成が必用な時代になっています。セカンドライフを80歳までの第1ステージと、それ以降のだ2ステージに分け、第1ステージは第2ステージのための資産形成期間と位置づけると生涯に渡ってゆとりある生活をおくることが可能になるでしょう。

次回は50代の資産形成についてお話しします。